研究分担者 |
島田 和幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (90145128)
三橋 武司 自治医科大学, 医学部, 講師 (60275675)
村田 光延 自治医科大学, 医学部, 助手 (10326853)
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 助手 (90326851)
江口 和男 自治医科大学, 医学部, 助手 (80364503)
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研究概要 |
睡眠時無呼吸症候群は脳卒中の危険因子とされている。本年度はハイリスク患者170名を対象として夜間低酸素状態と無症候性脳梗塞、頚動脈プラークの関連を検討した。対象者は1)健診時血圧高値 2)高コレステロール血症 3)ECG上の左室肥大 4)ヘモグロビンA_<1C>【greater than or equal】6.5% 5)蛋白尿の存在 6)中心性肥満 7)喫煙 8)アルコール多飲 9)脳卒中家族歴の内、3つ以上を有する者とした。対象者170名(平均年齢67.4±9歳)に対し、夜間パルスオキシメーター、頭部MRI,頚動脈超音波、心エコーを行い、そのうちパルスオキシメーターの記録状態が良好な146名を解析対象とした。3% oxygen desaturation index(3%ODI.にSPO_2が3%以上低下をする低酸素イベント回数/時間)5.6回/時(4分位)をカットオフ値とし、対象者を夜間低酸素群(Q4,36名)と夜間非低酸素群(Q1-3,110名)に分けた。頭部MRI検査で評価した無症候性脳梗塞(SCI)の頻度は(57%vs.35%,P=0.03)であり、夜間低酸素群で有意に高かった。SCIの数は年齢(r=0.23,P<0.01),収縮期血圧(r=0.196,P<0.05),3%ODI(r=0.318,P<0.001)といずれも有意な相関を示した。年齢、性、BMIなどの他の交絡因子を補正して多変量解析を行ったところ、夜間低酸素[オッズ比(95%信頼区間)=2.42(1.10-5.30),P=0.026]、収縮期血圧[10mmHg増加:オッズ比(95%信頼区間)=1.22(1.00-1.48),P=0.048]の2者がSCIの独立した規定因子であった。頚動脈プラークスコアーは年齢(r=0.354,P<0.001)、男性(r=0.243,P<0.001)、クレアチニン(r=0.184,P<0.05)に加え、3%ODI(r=0.172,P<0.05)も有意な正相関を認めた。結論として、1)ハイリスク患者の約25%に夜間パルスオキシメーターで夜間低酸素血症が検出された。2)夜間酸素血症は無症候性脳血管障害や頚動脈プラークの規定因子であった。無症候性脳梗塞および頚動脈プラークはいずれも将来の脳卒中発症のリスク予測因子であることから、心血管リスクが集積する患者において夜間SpO_2低下は脳卒中リスクを増加させると考えられる。
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