研究分担者 |
島田 和幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (90145128)
三橋 武司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (60275675)
村田 光延 自治医科大学, 医学部, 助手 (10326853)
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 助手 (90326851)
石川 譲治 自治医科大学, 医学部, 研究員 (90382879)
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研究概要 |
睡眠時無呼吸症候群の患者は心血管イベントのリスクであることが報告されている。本年度は、いびきや昼間の眠気などを主訴に外来を受診した患者のうち、スクリーニング検査として3% oxygen desaturation index(3% ODI:経皮的酸素分圧モニタリングにて、酸素飽和度が3%以上低下のイベント回数/時間)が10以上であった患者134名に対して、睡眠ポリソムノグラフィー、24時間血圧モニタリング、血液検査を行った。その結果、75名(56%)がapnea-hypopnea index(AHI:1時間当たりに無呼吸や低呼吸を起した回数)が、15以上であり睡眠時無呼吸症候群と診断された。睡眠時無呼吸症候群の患者はそうでなかった患者に比べて、有意に年齢が低く(53.5±14.8歳対61.8±15.0歳、P<0.002)、男性の割合が多く(89%対61%,P<0.001)、body mass indexが高く(27.6±4.6kg/m^2対25.1±3.4kg/m^2,P<0.001)、ウエストが大きかった(92.0±11.5cm対84.9土9.2cm, P<0.001)。また、外来収縮期血圧、外来拡張期血圧、外来脈拍数は有意差がなかったが、24時間の拡張期血圧の平均が高い傾向があり(81.6±9.9mmHg対78.2±10.1mmHg, P=0.069)、昼間の拡張期血圧が有意に高値であった(86.5±10.2mmHg対81.6±10.6mmHg, P=0.042)。睡眠時無呼吸症候群の患者は、血中のアルドステロン(99.2±40.4pg/ml対87.0±38.3pg/ml, P=0.080)、アンジオテンシンII(10.4+15.0pg/ml対6.3±7.8pg/ml, P=0.040)が高値であり、レニンアルドステロン系の活性化が無呼吸症候群の病態の機序に影響を与えている可能性が示唆された。本研究では、無呼吸症候群で亢進しているとされているアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった交感神経系の指標は両群では有意差がなかった。また、空腹時血糖値、インスリン値は両群で有意差が見られなかったが、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンが睡眠時無呼吸症候群で有意に低下していた(7.7±4.8対9.6+4.2μg/ml、P<0.019)。そのため、睡眠時無呼吸症候群ではインスリン抵抗性が認められ、近年動脈硬化と強く関連しているとされる高感度C反応性蛋白が有意に高値を示しており睡眠時無呼吸症候群のリスク増加と関連していることが示唆された。今後は、これらの患者に経鼻的持続性陽圧換気の治療を行いこれらの指標の変化を検討しつつ追跡中である。
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