研究課題/領域番号 |
14570690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
上羽 洋人 自治医科大学, 医学部, 助手 (80316546)
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研究分担者 |
川上 正舒 自治医科大学, 医学部, 教授 (40161286)
黒木 昌寿 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90215096)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 血管内皮細胞 / 単球 / アポトーシス / 動脈硬化 / 遺伝子クローニング |
研究概要 |
血管内皮細胞のアポトーシスは動脈硬化病変の発症・進展において重要な役割を演じているが、その制御機構については不明な点が多い。本研究の目的は、単球の接着により血管内皮細胞のアポトーシスが抑制される過程で発現する遺伝子の解析を行い、内皮細胞のアポトーシス制御機構を解明することである。当初は、differential hybridization法を用いる予定であったが、DNAマイクロアレイ法に変更して検討した。ヒト単球由来のTHP-1とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を血清非存在下に16時間共存培養し、THP-1をHUVECに接着させた群(接着群)とHUVEC単独培養群(非接着群)において、HUVECのアポトーシスの程度をcaspase-3の活性測定とTUNEL法により比較した。次に、各群のHUVECからmRNAを抽出し、IntelliGene HS Human Expression CHIP(タカラバイオ、搭載遺伝子数約16,600種類)を用いて発現遺伝子を解析した。接着群のアポトーシスは非接着群に比して有意に抑制されていた。接着群において最も強く発現していた遺伝子はosteopontinであり(558倍)、IL-1、selectin E、PPARgamma、MCP-1などの発現も増加していた。接着群のアポトーシス制御遺伝子に関しては、アポトーシス抑制因子であるbcl-2とともに、caspase-8、BIKといったアポトーシス促進因子についても発現増加を認めた。本研究によって、単球の接着により血管内皮細胞においてアポトーシスを制御する様々な遺伝子の発現が惹起されることが明らかとなった。特に、細胞接着におけるsurvival pathwayへの関与が示唆されているosteopontinは、接着群のアポトーシス抑制において重要な役割を演じている可能性があり、今後の研究の発展が待たれる。
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