研究課題/領域番号 |
14570693
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安斉 俊久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60232089)
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研究分担者 |
前川 裕一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296575)
菅野 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317124)
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キーワード | 心筋梗塞 / 炎症 / サイトカイン / リモデリング / 単球 / マクロファージ / 心不全 |
研究概要 |
ラット心筋梗塞モデルに対して、GM-CSF誘導剤(romurtide 200μg/kg/day)を術後より1週間投与し、2週間後にコントロール(梗塞作成後生食投与群)と比較したところ、GM-CSF投与群において、左室リモデリングの増悪を認めた。組織レベルにおいては、梗塞部心筋(7日後)におけるハイドロキシプロリンの含量が低下を認め、イムノブロッティングおよびRealtime RT-PCRによる検討では、梗塞後急性期(3日、7日後)における形質転換成長因子(TGF-β1)、コラーゲンタイプIおよびタイプIIIの発現が梗塞部において低下しており、修復性線維化の遅延が示唆された。梗塞2週後には、膠原線維の産生はコントロール群に比較し、むしろ亢進していた。また、GM-CSF投与中の急性期には、梗塞部におけるMCP-1の発現が亢進し、単球由来マクロファージ(ED-1陽性マクロファージ)の浸潤が顕著に認められた。すなわちGM-CSFは梗塞部における単球由来マクロファージを過剰賦活化することにより壊死心筋の膠原線維への置換を障害し、左室リモデリングを増悪させている可能性が考えられた。一方、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、GM-CSFとは逆に抗炎症作用を有し、梗塞後急性期に投与することによって、TGF-β1、コラーゲンタイプIおよびIIIの発現を亢進させ、修復性線維化をむしろ促進することが明らかになった。GM-CSFとG-CSFは、どちらも浸潤してきた炎症細胞に対して作用すると考えられるが、GM-CSFがいわゆるClassical macrophageを活性化させ線維化をむしろ抑制する方向に働くのに対してG-CSFは、Alternatively activated macrophageの賦活化を介して線維化を促進する方向に働く可能性が示唆された。
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