国内の研究協力施設で先天性好中球減少症と診断された17例において、G-CSF受容体切断型遺伝子異常は1例のみに同定され、欧米の報告に比し低頻度であった。これは白血病化した細胞を含む血液細胞mRNAから検出され、血液細胞gDNAからは正常のアリルとヘテロに検出された。この症例の爪、髪のgDNAでは正常のアリルのみ検出され、腫瘍化に伴って出現した異常である可能性が強く示唆された。この他に切断型でない変異が1例、アミノ酸変異を伴わない変異1例が検出された。 切断型G-CSF R Tgマウスは野生型のTgマウスに比して好中球が減少しているだけでなくS.aureusに対し易感染性であった。また、切断型受容体Tgマウスの骨髄細胞は半固形培地において対照に比して、低濃度のG-CSF刺激に対してより多数のコロニーを形成した。液体培地においては、切断型の骨髄細胞は培養1週間後により多くの細胞が生きて残存していた。また、その細胞は幼若な骨髄系の細胞が占める割合が多かった。切断型受容体Tgマウスに過剰なG-CSFを1か月に渡って投与したところ、汎血球減少を来すという興味深い結果を得た。また、これまでの知見を基にこのマウスに人の薬用量のG-CSF(20μg/日)投与実験を行ったが、現在まで250日の連続投与では骨髄異型性症候群/白血病の発症は観られず、この切断型の異常の出現とG-CSF投与のみでは腫瘍化しない可能性が示唆された。 興味深い事に同一の遺伝子異常を持っていてもその徴候は異質性があり、Shwachman症候群のフェノタイプ決定にはSBDS遺伝子異常以外の要素が関与していると示唆された。
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