気管支喘息(以下喘息)発症にはウイルス感染がきっかけとなり、また増悪因子として認められている。喘息は気道の好酸球性炎症とされ、好酸球の活性化により惹起される。本研究では、RSウイルス感染が、気管支喘息の発症および増悪にどのように影響を及ぼしているのかを検討することを目的とし、初年度はRSウイルスが好酸球の活性化を来たすか否かを検討した。その結果、RSウイルスは単独では、好酸球からのスーパーオキサイド(O_2^-)産生は来たさなかった。そこで、RSウイルスが、血小板活性化因子(PAF)誘導性のO_2^-顧産生に対して増強効果があるか否かについて検討した。その結果、RSウイルスは、PAF誘導性のO_2^-産生に対して増強効果があることが明らかとなった。なお、この反応は、細胞を浮遊すること、またはβ2インテグリンに対するCD18抗体で前処理することにより、ともに抑制された。さらに、RSウイルスおよびPAFにより刺激した好酸球表面上のαMβ2(CD11b/CD18)の発現をフローサイトメーターにより検討した。αMβ2の発現は、O_2^-産生と同様に、RSウイルスは単独では充進しなかったが、PAFと同時に添加すると好酸球からのαMβ2の発現を増強することが明らかとなった。さらに本年度は、PAFやC5a刺激による好酸球活性化におけるProtein Kinase C(PKC)の役割を検討した。その結果、PKC阻害物質を用いた系でatypical PKCの一部が好酸球の活性化に関与することが判明した。
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