研究課題/領域番号 |
14570726
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
富澤 稔 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90334193)
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研究分担者 |
中川原 章 千葉県がんセンター研究局, 生化学研究部, 部長 (50117181)
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キーワード | hepatoblastoma / diagnosis / Cox hazard model / hepatocyte differentiation / prognosis / transcription factor / C / EBPα / C / EBPβ |
研究概要 |
【目的】肝芽腫細胞では、肝細胞の分化の停止が想定される。、転写因子CCAAT/enhancer binding protein α(C/EBPα)とC/EBPβは、肝細胞の分化を促進するので、肝芽腫ではその異常が推測された。そこで、肝芽腫におけるC/EBPα、C/EBPβの発現を解析し、診断・予後推定因子としての有用性を検討した。【方法】肝芽腫における両遺伝子発現の変化をリアルタイム定量RT-PCR法(Taq-Man法)と免役染色にて解析し、single-strand conformation polymorphism(SSCP)法にて、塩基配列の異常を解析した。RNA、genomic DNAを抽出した手術標本は、インフォームド・コンセントを得て採取直後に-80度で凍結し、日本小児肝癌スタディグループ(JPLT)の管理下に千葉県がんセンターにて保存した。【成績】SSCP法では、C/EBPα、C/EBPβともに肝芽腫における塩基配列の異常は検出されなかった。しかし、腫瘍部における発現量は非腫瘍部に比して、C/EBPαが2.23、C/EBPβが0.27と、それぞれ有意に増加、減少していた。とくにC/EBPβでは、臨床病期と病理学的悪性度が進行するほど、発現が低下していた。以上の傾向は、免疫組織学上も確認された。5年累積生存率は、腫瘍部での発現量が中央値よりも高い群(H)、低い群(L)の二群で検討したところ、C/EBPαでは、H:58.6%(標準誤差16.1)、L:82.7%(9.4)、C/EBPβでは、H:78.1%(15.1)、L:56.1%(13.2)であった。腫瘍部での発現がC/EBPαでは増加するほど、C/EBPβでは低下するほど予後の悪い傾向が認められた。【結論】C/EBPα、C/EBPβ発現量の解析は、診断・予後推定因子として有用な可能性、および両遺伝子が肝芽腫の発生・進展に関与している可能性が示唆された。
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