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2003 年度 実績報告書

小児急性リンパ性白血病における腫瘍抑制遺伝子p16ならびにRbの解析

研究課題

研究課題/領域番号 14570734
研究機関山梨大学

研究代表者

杉田 完爾  山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60138055)

研究分担者 合井 久美子  山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (70324192)
犬飼 岳史  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30293450)
キーワードRb遺伝子 / p16遺伝子 / 細胞回転 / 急性リンパ性白血病
研究概要

Rb遺伝子やp16遺伝子の異常は種々の腫瘍で認められており、重要な腫瘍抑制遺伝子と考えられている。一方、p16蛋白の発現が高い腫瘍では、予想に反して予後が不良であることが知られている。p16を非常に強く発現する小児急性リンパ性白血病(ALL)由来細胞株KOPN-79を用いて以下の検討を行った。
1.p16遺伝子に構造異常は認められず、p16蛋白の細胞内分布も正常で、高発現のp16 mRNAが検出された。
2.cyclin群、CDK群、CDKI群の発現に著変は認められなかった。
3.Rbの先現を調べたところ、E2F-1を代表とする転写因子群の結合部位(pocket region)を認識する抗体では発現が認められなかった。そこで、pocket regionより5'-regionを認識する抗体を用いたところ、通常より低分子量のRb蛋白が検出された。免疫沈降法を用いた検討で、この異常Rb蛋白は非リン酸化状態でもほとんんどE2F-1と結合せず非機能性と判明した。Rb cDNAの全領域をカバーできるようにプライマーを3セット設定し、RT-PCR法でRb mRNAの発現を検討したところ、pocket region (exons 13-22)より5'側に設定したプライマーセットでだけmRNAが検出された。したがって、pocket regionの一部を含む3'-regionが欠失したtruncated Rb蛋白の存在が想定された。また、Northern blot法では、wild-typeより数kbサイズが大きいmutated Rb mRNAが検出されたが、他のALL細胞株のRT-PCR法で得られた3プローブを用いたSouthern blot法で、Rb遺伝子の一方のアレルは欠損しており、他方のアレルはintron 17で切断されてexon 18以降を欠失し、3'端は未知の遺伝子と非機能的に融合していることが証明された。p16の発現が正常あるいは欠失しているALL細胞株(n=10)では、Rb遺伝子/Rb蛋白に異常は認められなかった。
以上の結果から、本細胞株においてはRb非依存性にE2F-1を代表とする転写因子群が活性化されており、p16の高発現下でも細胞回転が進行しうることを示している。非機能性Rbを発現しているALL細ではp16遺伝子の転写が亢進しており、p16遺伝子の転写活性分子が活性化されているか、p16遺伝子の転写抑制分子の活性が抑制されている可能性がある。これらの分子がRb蛋白自身なのかRb蛋白に制御されている分子であるのかは不明である。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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