研究概要 |
1)ATMとBLMの会合 Ataxia-telangiectasia(A-T),Bloom症候群(BS)はともにDNAの不安定性を示す疾患群である。我々はA-Tの病因遺伝子産物(ATM)とBSの病因遺伝子産物(BLM)が会合すること、さらにBLMがATMによってリン酸化されることを報告してきた。ATMとBLMの会合についてさらに解析するためにATMとBLMの両者を欠損するDT40細胞株を作製し、放射線感受性、sister chromatid exchange (SCE)等について検討した。ATM-/- BLM-/-のダブルノックアウト細胞株は、それぞれ単独のATM-/-またはBLM-/-細胞株とほぼ同程度の放射線感受性の亢進、SCEの上昇を示した。このことより、ATM, BLMがそれぞれ独立のpathwayでDNAの複製・修復に関与していることが示唆された。 2)Dominant negative AID遺伝子変異の同定 高IgM症候群(Hyper IgM syndrome : HIGM)はIgG, A, Eの低値とIgMの高値を特徴とする免疫不全症候群である。常染色体劣性の遺伝形式をとるII型HIGMはクラススイッチ、somatic hyper mutationに必須のタンパクであるactivation induced cytidine deaminase (AID)の異常により生じる。我々は、II型HIGMの患者においてAID遺伝子を解析しAIDのC-末に存在するR190X変異がdominant negativeとして機能する可能性を報告した。また、この変異をPCRで簡易にスクリーニングする方法を確立した。
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