1)名古屋大学医学部小児科、名古屋第一赤十字病院小児医療センター血液腫瘍科で同種骨髄移植を受けた小児より経時的に末梢血単核球、血漿を採取。HHV-6分離ならびに抗体測定を実施。また、HHV6、HHV-7についてのリアルタイムPCR法によるウイルスDNA量の定量法を開発し、患児末梢血単核球、血漿中の両ウイルスDNA量を測定した。ウイルス分離陽性例、陰性例に分けて単核球、血漿中のウイルスDNA量の推移を比較したところ、予想どおり単核球中HHV-6 DNA量はウイルス分離時期に一致して高値を示したが、ウイルス非分離例においても移植後2週から3週にかけてウイルスDNA量が増加する例があり、これはmolecular reactivationがおきていることによると推測された。しかしながらこのような症例では抗体上昇は認めず、ウイルスが分離された症例でのみ抗体価の有意上昇が確認された。また血漿中からウイルスDNAが検出される時期は、ウイルス分離時期に極めてよく一致していた。ウイルス分離例では分離時期に一致してほとんどの症例でacute GVHD様の症状を呈していたが、molecular reactivationがおきていたと考えられた症例を含め、ウイルス非分離例でそのような症状を呈した患者の数は少なかった。 2)上記のウイルス学的解析を実施した患者の中で一部症例については観察期間を終了し、臨床症状の解析を行った。Acute GVHD様のskin rashを生じた症例について、ウイルス分離例と非分離例で皮疹の出現部位などについて調べた結果、ウイルス分離例の中にも典型的なacute GVHDに見られる手掌の発疹を欠く症例だけでなく、acute GVHD様の手掌に限局した皮疹を認める症例もあった。よって、単純に皮疹の形態だけでウイルス感染に伴う皮疹とacute GVHDの鑑別ができるわけではなく、今後より詳細な臨床経過の解析を行う予定である。
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