研究概要 |
悪性横紋筋様腫瘍(Malignant Rhabdoid Tumor : MRTと略)培養細胞株におけるエストロジェン・レセプター発現およびanti-estrogen投与による細胞障害性を検討した。 方法 1 MRT細胞6株(TM87-16βTM91-01,TTC549,TTC-642,TTC1240,YAM-RTK1)を使用してRT-PCR法によりエストロジェン・レセプターアルファ(estrogen receptor α: ER-α)、エストロジェン(E2)との関連が指摘されているprogesterone receptorおよびpS2の発現を検索した。 2 ERの発現が認められた細胞株に対して抗E2剤のタモキシフェン(TAM)投与添加培養による細胞増殖能を検討した。また、TAMは抗E2作用以外にE2作用もあわせ持つため、pure anti-estrogenであるICIも使用した。 3 TAM投与を受けた細胞における形態的変化およびDNA ladderingを検討した。 結果 1 ER-αはTTC87-16、TTC642およびTTC1240において発現していた。これらのMRT細胞株はきわめて興味深いことに神経系形質を保持していた。pS2の発現は認められなかった。 2 TAM投与により細胞増殖は有意に抑制され、ほぼ増殖停止状態となった。しかし、ICI投与によっては増殖抑制が起こらなかった。TAMとE2の同時添加では増殖抑制は改善しなかった。 3 TAM投与によりMRTにapoptosisが誘導されていた。 考案 MRTにはER-αが発現していた。しかし、増殖性への関与は少なかった。TAMによる細胞増殖抑制はみられたが、これはER-α以外の経路を介するpathwayと考えられた。TAMはtumor dormancy therapyとして臨床応用できる可能性があった。
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