研究課題/領域番号 |
14570752
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
楠原 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20243941)
|
研究分担者 |
米満 吉和 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (40315065)
野村 明彦 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (00325531)
|
キーワード | 遺伝子治療 / 造血幹細胞 / 遺伝子導入 / センダイウイルス / ベクター / 臍帯血 |
研究概要 |
国産の新規ウイルスベクターである組み換えセンダイウイルスベクター(SeV)を用いて、臍帯血由来のヒト造血幹細胞(CB-CD34^+)へのGFP遺伝子導入を行い、以下の結果を得た。 1)MOI=10の少ないベクター量で、しかもサイトカインによる前刺激を行うことなく、CB-CD34^+に高い効率で遺伝子導入を行うことができた(85.5±5.8%)。また、さらに未分化な細胞集団であるCD34^+AC133^+細胞およびCD34^+CD38^-細胞にも、同様の感染条件で、それぞれ88.2%±3.7%、84.6%±5.7%の高い導入効率が得られた。これは、現在用いられているレトロウイルスベクターよりも良好な成績であった。 2)CB-CD34^+の細胞周期ごとの導入効率を検討したところ、G_0期22.6±6.1%、G_1期78.3±6.8%、S/G_2/M期83.1±2.7%であり、非分裂細胞にも高い効率で遺伝子導入が可能であった。 3)colony assayによって、各lineageごとの導入効率を検討したところGM-CFU73.0±11.1%、BFU-E24.7±4.0%、Mix-CFU59.0±4.0%、total50.0±7.0%という結果であり、すべてのlineageに効率よく導入することができた。 4)SeVによる遺伝子導入がCB-CD34^+の増殖に与える影響を検討したところ、量依存性の増殖抑制効果が観察されたが、増殖自体は持続していた。 以上の成績より、SeVは臍帯血由来のヒト造血幹細胞の造血系再構築能を損なうことなく、これらの細胞に高い効率で遺伝子を導入し得る有望なベクターであることが示された。
|