研究概要 |
本研究で我々は培養したヒトの気道上皮細胞を用いてロイコトリエン(leukotriene ; LT)の生理作用発現およびその活性化を規定する因子を,合成酵素,受容体,分解酵素の遺伝子レベルで検討し,その制御機構の存在を明らかにした.前年度までの研究で,CysLT1RおよびBLTはTNFαおよびTh2サイトカインであるIL-13の刺激により時間および用量依存性にそのmRNAおよび蛋白の発現が誘導されることが明らかとなった.CysLTsはアレルギー性炎症の発現にきわめて重要な役割をはたしていることが示されており,Th2サイトカイン(IL-4,IL-13)優位のアレルギー疾患患児でcysLTsの活性化の機序に受容体のmRNAレベルでのサイトカインを介した制御機構が関係していることが明らかとなった.また,昨年度,我々はTh2サイトカイン(IL-4,IL-13)刺激により気道上皮から産生される好酸球遊走因子Eotaxin3の産生が強く誘導されることを発見し報告したが,その,分子機構の解明の経過中にウイルス感染で産生されるINF-γがTh2サイトカインによって転写レベルで誘導されるeotaxin3の発現を制御する機構があることを見出し,喘息の発症および増悪との関与が強く示唆される知見を得た.これは次年度に是非検討を続けていかねばならない課題と考える.
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