研究概要 |
平成14年度科研費を用いて以下の結果を得た。 1,0N-OFF機構を用いた研究:平成14年度はin vitroの系を確立することを主眼とした。 (1)マウスhexb cDNAの発現ベクターの作成 マウスhexb cDNAが部分欠損を起こすと言う予想しない状況になり、進行状況は遅れ気味。現在ゲノムからPCRにて欠損部分を増幅し再構成中。 2,Sandhoff病マウス(SDマウス)における免疫異常の研究 平成11年度頃より続けてきたプラスミド遺伝子治療の中で、SDマウスに免疫異常があることが、示唆され平成14年度はこの部分にも時間を割いた。SDマウスの血清には蓄積物であるGM2,GA2に対する自己抗体が存在し、週数が増加するにつれて抗体価が上昇した。血清のIL4は野生型マウスに比して有為に高かった。組織学的に胸腺および脾臓の萎縮が認められた。中枢神経系には免疫グロブリンの沈着が見られた。以上よりSDマウスには免疫系の異常が示唆され、この異常がその病態生理にどのように関わっているかを調べるために、免疫のFcレセプター欠損マウスと掛け合わせているところである。 3,その他 (1)ヘキソサミニダーゼA欠損、A+B欠損、完全欠損(A+B+S欠損)マウスを作成し、血液脳関門に重要と思われる間藤細胞の形態を観察し、Acta Neuropatholに発表。 (2)プラスミドによるライソゾーム病の遺伝子治療の可能性についてJ Mol Medに発表。 (3)SDマウスにおけるシヌクレインの蓄積を免疫染色で検索し、蓄積を認めたことをNeuroReportに発表。 (4)SDマウスの後根神経節を培養し、症状のないマウスで既に神経機能の低下が見られることをNeuropathol Appl Neurobiol.に発表。
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