研究概要 |
血友病遺伝子治療の微量発現第VIII因子のモニタリングを目的に微量第VIII因子の凝固機能を活性化部分トロンボプラスチン時間および活性化凝固時間の凝固開始後の凝固過程における透過度をリアルタイムにモニタリングして凝固波形を解析して検討した。さらに各ポイントことの透過度の1次微分および2次微分解析を行い、凝固速度、凝固加速度さらに、最大凝固加速度および最大凝固加速度を算定した。また、リアルタイムに得られた凝固波形パターンを分析した。純化第VIII因子を0-1.0%の微量域と1-100%の通常域2群に分けてそれぞれ段階希釈列をつくり、それぞれの検体での凝固波形を解析し、それぞれの凝固パラメーターを算定した。微量第VIII因子の凝固機能を検討するために第VIII因子欠乏血漿に段階希釈した純化第VIII因子を添加して微量第VIII因子を有する希釈列を作成して凝固時間、最大凝固加速度を測定した。っぎに、通常の第VIII因子測定法では第VIII因子活性が検出できない第VIII因子活性1%未満の重症型血友病A患者、1-5%の活性を有する中等症血友病A患者および5%以上の活性を有する軽症血友病A患者血漿の凝固波形解析を行い、各凝固パラメーターを算出した。その結果、0.2-1%の微量な第VIII因子が濃度依存性に凝固時間、最大凝固速度や最大凝固加速度が変化し、微量第VIII因子の凝固機能が確認された。さらに、従来の測定で1%未満の重症型と診断されていた血友病A患者の一部に,0.2-1.0%の有意の第VIII因子活性を有する患者群が存在した。重症型の遺伝子異常として知られるイントロン22内の遺伝子逆位を有する患者群は前例0.2%未満の完全欠損型と考えられた。
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