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2003 年度 実績報告書

血友病A遺伝子治療における凝固動態および活性化機構に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14570761
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

嶋 緑倫  奈良県立医科大学, 医学部小児科, 助教授 (30162663)

キーワード血友病A / 遺伝子治療 / 第VIII因子
研究概要

血友病Aにおける出血症状の臨床的重症度は第VIII因子の産生レベルに強く相関する。第VIII因子が凝固因子活性を発現するためにはトロンビンや活性型第X因子により活性化される必要がある。しかしながら活性型第VIII因子(VIIIa)はビタミンK依存性の抗凝固因子である活性型プロテインC(APC)により分解され不活化されるAPCによるVIIIaの不活性化機構は不明な点が多い。
本年度は、APCのプロテアーゼ活性をアンヒドロ化して不活化誘導体(Ah-APC)を作製して野生型第VIII因子、第VIII因子フラグメント、各ドメインおよび合成ペプチドを用いた結合実験を行った。方法はAh-APCを固相化したバイオセンサーに第VIII因子の各フラグメントを添加してそれぞれの結合定数を解析して行った。本結合実験の結果、第VIII因子のA3ドメイン内のアミノ酸残基2009-2018にAPC結合部位を同定することに成功した。また、本領域に由来する合成ペプチドおよび家兎抗ペプチド抗体もAPCの第VIII因子結合を抑制することを明らかにした。
従来より、APCによるVIIIaの不活化がVWFの存在で保護されることが知られていたが、その、保護機序は不明であった。そこで、APCによるVIIIaの不活化におけるフォンヴィレブランド因子(VWF)およびリン脂質の関与について検討も行った。その結果、VWFはAPCの第VIII因子への結合を完全に抑制することを初めて明らかにした。また、VWFのAPC結合抑制作用は競合阻害であり、VWFの第VIII因子結合部位がAPC結合部位近傍に存在することが明らかになった。以上の研究によりAPCのVIIIaに対する不活化作用はVWFの存在に強く依存していることが判明した。さらに、第VIII因子/VWFの結合機序を解明する上にも重要な知見をもたらした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nogami.K, Shima.M, Nishiya.K, Hosokawa.K, ELSaenko et al.: "A novel mechanism of factor VIII protection by von Willebrand factor from activated protein C-catalyzed inactivation"Blood. 99. 3993-3998 (2002)

  • [文献書誌] Natalya M., Ananyeva, Kouiavskaia, Shima M et al.: "Intrinsic pathway of blood coagulation contributes to thrombogenicity of atherosclerotic plaque"Blood. 99. 4475-4485 (2002)

  • [文献書誌] Sakurai Y, Shima M, Matsumoto T, Takatsuka H et al.: "Anticoagulant activity of M-LAO, -amino acid oxidase purified from Agkistrodon halys blomhoffii, through selective inhibition of factor IX"Biochimics Biophysica Acta. 1649. 51-57 (2003)

  • [文献書誌] ELSaenko, Ananyeva, NM, Shima M, Mausert CAE et al.: "The future of recombinant coopelation factors"Journal of Thrombosis and Thrombolysis. 1. 922-930 (2003)

  • [文献書誌] 嶋 緑倫: "第VIII因子インヒビター陽性血友病A"臨床血液. 44. 90-101 (2003)

  • [文献書誌] 嶋 緑倫, 田中一郎, 川合陽子, 辻肇, 中村伸, 森田隆司: "本邦における血液凝固後天性インヒビターの実態"日本血栓止血学会. 14. 107-121 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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