研究課題/領域番号 |
14570762
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10246522)
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研究分担者 |
上村 茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50137262)
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80196865)
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
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キーワード | 川崎病 / 血小板活性化因子(PAF) / PAF分解酵素 |
研究概要 |
川崎病血管炎の進展過程において、血小板数とその機能活性化が上昇することが知られている。血小板活性化因子(以下PAF)は、血小板活性化作用の他に、好中球やマクロファージなどの炎症惹起細胞の活性化、補体の活性化等の多様な作用を有し川崎病血管炎の発症進展への関与が推測される。PAF濃度はPAF分解酵素により厳密に規定されている。最近、PAF分解酵素遺伝子の点変異(G994T)が発見され、変異のある人は酵素活性が低下していることが判明している。川崎病においてPAF分解酵素遺伝子の変異ある患児ではPAF分解酵素活性低下の結果、PAF濃度の上昇が容易に生じ、より強い炎症、血小板凝集などが生じて冠動脈病変及び血栓性病変を引き起こす可能性が考えられるが、この遺伝子変異の検討はまだない。申請者らは、川崎病患児のPAF分解酵素遺伝子変異について検討した。 【研究経過・研究成果】 申請者らは、現在通院中の川崎病既往患児と今年度に新たに川崎病を発症した患児のうち、患児本人またはその保護者からinformed consentの得られた計73名からDNAの提供を受けた。73名中冠動脈病変を生じた症例は25例で、冠動脈後遺症がない例は48例であった。これらの患児のDNAを用いてPAF分解酵素遺伝子第9エクソンの点変異を検討した。PAF分解酵素遺伝子のGG、GT、TT genotypesの頻度はそれぞれ57例(78.1%)、15例(20.5%)、1例(1.4%)であった。GAlleleの頻度は88.4%、T Alleleの頻度は11.6%で以前に報告された日本人での検討とほぼ一致していた。冠動脈後遺症を生じた群(25例)と生じなかった群(48例)との比較では、現時点ではT Alleleの持つ頻度に有意差は認めていない。さらに症例数を増やして検討するとともに臨床データでの比較を詳細に行う予定である。
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