研究概要 |
川崎病血管炎の原因は今なお不明である。申請者らは、Western Immunoblotで冠動脈中膜平滑筋細胞由来の70kDaタンパクに対する自己抗体(IgA, M分画)が30-40%に陽性であることを見出した。本研究では、申請者らは、ヒト冠動脈培養平滑筋細胞からのcDNA libraryを用い、抗血管平滑筋細胞抗体を高濃度に持つ患児血清でスクリーニングを行なった。 【研究経過・研究成果】 平成14年度報告にも記載したが、冠動脈平滑筋細胞由来の70kDaタンパクに対してIgA分画の抗体を高濃度に持つ3例の川崎病患児血清を用いてcDNA libraryのスクリーングを行った結果、10個の陽性クローンを得た。このクローンについてシークエンスした結果、5個の蛋白が同定された。すなわち、29kDaのProteasome(α) type 1,88kDaのGolgi autoantigen,117kDaのrabaptin-5,124kDaのVinculin,74kDaのLamin A/Cである。求める70kDa蛋白はまだ同定できていないが、他の陽性クローンについてさらにシークエンスを検討中である。また、同様に70kDaタンパクに対してIgA分画の抗体を高濃度に持つ2例の川崎病患児血清を用いてcDNA libraryのスクリーングを行った結果、合計2個の陽性クローンを得た。このクローンについて現在シークエンスで検索中である。さらに、冠動脈平滑筋蛋白を用いた2次元蛋白電気泳動を行い、これに対して高濃度のIgA/M分画の自己抗体を持つ血清でWestern Immunoblot分析を行い、陽性バンドについてアミノ酸シークエンスも進行中である。すなわちcDNA libraryからのスクリーニングされた蛋白とアミノ酸シークエンスから得られた蛋白の両面から検討し、自己抗体の特異抗原の同定を試みている。
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