研究概要 |
代表的な小児腎原発悪性腫瘍であるウイルムス腫瘍について、片腎性かつ孤発性の本邦のウィルムス腫瘍121例を対象に以下の解析をした、 (1)遺伝子異常と組織型との関連 WT1異常を認めた先天異常合併例8例中7例(88%)とWT1異常を認めた先天異常を合併していない片側性かつ散発例9例のうち8例(81%)がstromal-predominatの組織像を呈し、WT1異常例では88%の腫瘍でstromal-predominatの組織像を呈していたが、WT1異常のない45例のうちstromal-predominatの組織像を呈していたは6例(13%)に過ぎず、他は様々な組織亜型であった。病理組織分類は62例(先天異常合併例8例、WT1異常を認めた先天異常を合併していない片側性散発症例9例、WT1異常のない先天異常を合併していない片側性散発症例45例)でなされ、以下の4群に分けられた。 a.stromal-predominat 21例 b.blastemal predominant 27例 c.mixed triphasic 8例 d.others (3 purely epithelial,3 CPDN) 6例 (2)WT1遺伝子以外のウイルムス腫瘍の原因遺伝子(新しい癌抑制遺伝子WT3)の可能性の検討 98例のLOH解析では、11番染色体でのLOHを98例中34例(28.1%)に認めた。11qに15.7%と高頻度にLOHが認められ、共通欠失領域は11q23であった。11q23にmappingされるTSLC1遺伝子があり、11qLOHが認められた34例では、mutation/deletionのいずれも認められなかった。11q23にLOHが認められた14例のうち3例と11q23にLOHが認められなかった9例中1例にmethylationが認められた。
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