研究課題/領域番号 |
14570773
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 助教授 (00093386)
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研究分担者 |
高橋 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (40091045)
森 庸祐 帝京大学, 医学部, 助手 (20328090)
仲本 なつ恵 帝京大学, 医学部, 助手 (20256043)
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キーワード | Menkes病 / キレート剤 / チトクロームCオキシダーゼ / マクラマウス / 治療 |
研究概要 |
銅輸送蛋白・ATP7A蛋白欠損症であるMenkes病は銅欠乏症状を呈する疾患で、銅は細胞内サイトソルに蓄積し、ゴルジ体への輸送、細胞外への分泌が障害されている.さらに血液脳関門にも銅蓄積病態が見られる.そのため銅を非経口的に投与しても、神経細胞の銅欠乏は改善しない.本研究では、銅投与とキレート薬の併用療法をMenkes病モデルマウスであるmacularマウスで検討した。 [対象・方法]対象:生後7日目に塩化銅50μgを皮下投与し延命したmacularマウスおよび同腹の正常マウス。方法:(1)生後4週目になった時点で各マウスを3群(A、B、C群に分け、塩化銅または水(対照)を皮下注射(4μg/回)、ジエチルジチオカルバネート(DEDTC、0.2mg/g体重/回)または生食(対照)を腹くう内投与した。A群:塩化銅、DEDTC, B群:塩化銅、生食、C群:水、生食。投与回数は週2回、合計8回行った。8回投与後、マウスを解剖し、それぞれの臓器を摘出した。(2)摘出組織で、銅濃度、cytochrome c Oxidase(CCO)活性を測定し、カテコラミン分画を分析した。各郡3〜8匹を用いた。 [結果・考察]macularマウスA群の大脳および小脳の銅濃度およびCCO活性はB、C群に比較して高値で、脳での銅濃度の改善、銅が有効に利用されている結果が得られた.脳でのカテこら民分画でも、dopamin β-hydroxidase活性の指標となるドーパミン/ノルアドレナリンの改善がキレート薬併用で認められた.この結果は、キレート薬併用により、投与銅が血液脳関門を通過し、神経細胞に移行して有用に利用されていることを示唆している.しかしながら、macularマウス腎臓および小腸でも、キレート薬併用により、銅濃度は著明に上昇した.腎機能の血液生化学的検査では異常は見られなかったが、今後腎機能や小腸機能におよぼすキレート薬の影響を検討する必要があると考えられた.
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