研究課題/領域番号 |
14570773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 助教授 (00093386)
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研究分担者 |
高橋 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (40091045)
森 庸祐 国際医療福祉大学, 保健学部, 講師 (20328090)
仲本 なつ恵 帝京大学, 医学部, 助手 (20256043)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | Menkes病 / キレート剤 / 脳血液関門 / 銅酵素 / 治療 |
研究概要 |
Menkes病は銅欠乏による重篤な中枢神経障害、結合織異常をきたす先天性銅代謝異常症で、現在有効な治療法はなく患児の多くは幼児期に死亡する。現在、Menkes病の治療としてヒスチジン銅の皮下注射が行われているが、中枢神経障害や結合織異常に対しては殆ど効果がない。また本症の障害は全身に及ぶため、臓器移植や遺伝子治療も期待できない。本症の治療として最も必要なことは、銅を個々の細胞の細胞小器官や神経細胞へ供給することである。そこで、本研究ではMenkes病モデルマウスを用いて、Menkes病の治療として銅と水・脂の両方に親和性のあるキレート薬であるジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを併用投与することによって、症状が改善すると考えた。投与された銅は体内の銅欠乏を改善し、キレート薬は投与した銅を結合して膜を通過し、細胞小器官に銅を供給すると同時に、脳血液関門を通過することが予想された。 生後4週齢のMenkes病モデルマウスに、銅とキレート薬を2回/week、計8回投与し、各臓器の銅含有量、銅酵素の活性を測定した。本症でもっとも重篤な症状である中枢神経障害を予防・改善させるためには、脳の銅濃度及び銅酵素活性の低下を改善させることが必要である。本研究では、キレート薬の併用治療により銅が脳血液関門を通過し、脳の銅濃度及び銅酵素活性において改善が見られた。一方、Menkes病患者では、腎臓、小腸に銅が蓄積する傾向にあるが、キレート薬を併用治療したマウスでは腎臓、小腸の銅の蓄積が悪化した。肝機能、腎機能の一般血液検査では異常は見られなかった。 すなわち、銅・キレート剤の併用治療により中枢神経障害を改善することはできたが、腎臓、小腸での銅がさらに蓄積した。今後、銅蓄積による障害の有無をより詳細に検討すべきであると考えられた。
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