研究概要 |
1. 候補遺伝子アプローチによる検索 候補遺伝子アプローチとしてanaphase-promoting complexの全サブユニット、Aurora kinase family(AIK1,3)Polo-like kinase、hESP1、hPTTG1の全コード領域を検索したが責任変異は認められなかった。 2. 発現クローニング法による検索 発現クローニング法には乳がん細胞株より作製したレトロウィルスライブラリーを2500 iindependent cloneを含む50のサブライブラリーに分割したものを用いた。MVA1A患者より樹立した培養皮膚線維芽細胞をSV40 largeT antigen発現レトロウイルスでtransformationした。SV40 largeT antigenでのtransfomationは正常培養皮膚線維芽細胞の染色体数の維持に影響を与えないことを確認し、患者より樹立した細胞株を発現クローニングに使用した。ウイルスの作成はPT67細胞を用い、12時間毎3回の感染を行い最初の感染から12時間後の培養上清を患者細胞株への感染に用いた。感染後48時間より、週に2回の割合でmonastrolの24時間暴露を計16回行った。16回目のmonastrol暴露時にM期に停止している細胞をpipettingにより浮遊させ回収した。これよりDNAを抽出しレトロウィルス特異的primerを用いてPCR増幅後TAクローニング法にてサブクローニングし、再度レトロウィルスに組み込んで患者細胞株への再発現により確認を行っている。 現在までに約半分のサブライブラリーをスクリーニングしたが患者細胞株の表現型を正常化させるものは見つかっていない。ただこうして得られたクローンの中に、Wilms腫瘍関連遺伝子の染色体部位に局在し、推定されたアミノ酸配列の中にanaphase-prompting complexの認識配列であるdestruction boxを持つ遺伝子が2種類含まれていた。現在これらの蛋白の機能についても解析を進めている。
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