研究概要 |
本年度の第一の目標は、動物モデルを用いてTh2細胞と好酸球が関与した蛋白抗原が惹起する皮膚炎症反応を抗原特異的に抑制する方法を探索することである。第二の目標として、アトピー性皮膚炎(AD)患者の免疫学的多様性を血中IgEや皮膚反応を用いて証明できることを、症例を増やして検証することであった。 動物実験:私は、共同研究者とともに、細菌に特有の塩基配列を有するCpGが抗原提示細胞に働き、IL-12の産生とco-stimulatory moleculeの発現の増強を介して、Th1を誘導できることを報告している(J Immunol 167:66,2001)が、今年度の研究で、さらにCpG motifを持たないoligodeoxynucleotideはTh2を誘導することを示し、CpG motifがTh1誘導に重要であることを報告した(J Immunol 170:2367,2003)。 動物で皮膚の好酸球炎症モデルを作成中である。具体的には一度OVAとalumで感作した後、経皮的にOVAを貼付して繰り返し感作すると皮膚に好酸球炎症を惹起することができ、また、炎症皮膚のRT-PCRでIL-5の産生が増強されていることを確認している。平成15年度はこの系を用いてCpG oligodeoxunucleotideが好酸球炎症を抑制できることを証明し、発表したい。 アトピー性膚炎(AD)患者:とくに、び漫性の浮腫性紅斑を示す患者では好酸球炎症の関与した遅発型反応(late phase reaction : LPR)がその発症に重要な働きをしている。すでに、皮膚反応をを用いてLPRをみることが可能であることを示しているが、症例数を増やし、血中IgEや皮膚反応を用いて、ADを分類できることを検証し、AD患者は免疫学的に多様であること報告した(J Dermatol Sci 29:73,2002)。
|