HaCaT細胞からのTARC産生は、TNF、IFNγにより誘導されるが、我々は種々のアンチセンスオリゴを用いた実験により、その誘導にNFκB、C/EBPβ、GATA-3が関与しており、c-Fosは関与していないという結果を得た。TARCのプロモーター部分を含む領域をPCRにて増幅してルシフェラーゼベクターに挿入し、TARCプロモータールシフェラーゼコンストラクトを作成した。このコンストラクトは扁平上皮癌の細胞株であるDJM細胞において活性が認められた。現在、数種類のプロモーターコンストラクトを作成中であり、今後これらのコンストラクトを用いて、TARCプロモーター領域におけるTNF、IFNγの応答部位および、誘導に関与する転写因子を明らかにしていく予定である。 一方、IL-15は乾癬などの炎症性皮膚疾患の形成に重要な役割を演じていることが報告されているが、IL-15がHaCaT細胞に働いてERK、P13Kを活性化するが、JNK、p38は活性化しないことが我々の検討により明らかとなった。IL-15はIFNγなどの炎症性サイトカインにより細胞表面に発現が誘導され、近隣の表皮細胞に情報が伝達されると考えられるが、IL-15による情報伝達がERKやP13KといったEGFR活性化などの他の炎症による情報伝達経路と共通していることから、これらの分子も炎症性皮膚疾患治療のターゲットとなりうると考えられる。
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