研究課題
基盤研究(C)
炎症性皮膚疾患においては、さまざまなサイトカイン、ケモカインが病態に深く関与していることが知られている。Thymus and activation regulated chemokine(TARC)は、アトピー性皮膚炎の表皮細胞、水疱性類天疱瘡の水疱内容液に検出され、これらの患者血清で高値を示す。我々はTNFαおよびIFNγ刺激刺激によりHaCaT細胞からのTARC産生は相乗的に誘導され、このTARC産生誘導がNFκB、p38の阻害により抑制されること、またEGF受容体活性化阻害剤によりその産生が誘導されることを明らかにした。また、IFNγのシグナル伝達に中心的役割を果たすSTAT1はこの産生誘導に関与していないことが明らかとなった。また、PLA2阻害剤であるMAFP、ロイコトリエンB4受容体阻害剤であるLYがTARC産生を濃度依存的に抑制したことから、TARC産生に脂質系シグナル経路が関与する可能性が示唆された。また、NFKBシグナル伝達阻害剤として開発されたIMDは、HaCaT細胞からのTARC産生を濃度依存的に抑制した。今後IMDのvivoでの効果について検討を加える予定である。機械的刺激は、尋常性乾癬における皮疹の誘導に関与し、また乾癬の病態におけるIL-15の重要性も報告されている。これらの刺激は表皮細胞にMAPキナーゼの活性化をもたらし、細胞増殖の誘導とアポトーシスの抑制をもたらした。機械的刺激はEGF受容体活性化とERK、PI3K活性化をもたらし、IL-15刺激はERK、PI3K活性化をもたらした。現在さらに下流の転写因子についても検討中である。今後アトピー性皮膚炎や乾癬の治療における、これらのシグナル分子抑制や、さらに下流にある転写因子の抑制などの方法について検討していく予定である。
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