hedgehogシグナルの活性化を指標としたBCCの分子生物学的診断法の確立のため、BCC14例とその他の皮膚腫瘍12例(脂漏性角化症3例、エクリン汗孔腫3例、外毛根鞘腫3例、有棘細胞癌2例、脂腺腺腫1例)の凍結組織よりRNAを抽出した。Oligo dT primerを用いcDNAを作製した後特異プライマーとプローブを用いたreal-time PCR法にてhedgehogシグナルの下流遺伝子であるGli1およびGli2のmRNA発現量を定量した。BCCでは、Phospho glycerokinaseとの比で表したGli1とGli2 mRNAの発現量は、それぞれ198.4.±44.2、79.4±12.9とその他の腫瘍(Gli1:0.1±0.1、Gli2:0.8±0.5)に比べて著明に高く、BCCの分子生物学的診断が可能であった。更に症例を増やし検討するため、BCCおよびその他の皮膚腫瘍のホルマリン固定標本からパラフィン切片を作製し、microdissectionにて腫瘍組織を分離した。proteinaseK処理後にグアニジンイソシアネート法にてmRNAを抽出し、rondom primerにてcDNAを作製した。パラフィン標本から作製したcDNAを用いて同様の解析を行ったところ、ほほ同様の結果が得られた。今後はパラフィン標本を用いて毛芽腫を始めとする毛包系腫瘍との鑑別診断における有用性を検討していく予定である。
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