研究概要 |
ニューキノロンの光アレルギー性機序を解明するために,キノロン光産物特異的なモノクローナル抗体(ST-Q-9)とマウスモデルを作製しキノロンは,ランゲルハンス細胞(LC)上の膜あるいは細胞質蛋白に光共有結合し,こうしてできたキノロン光修飾LCはT細胞を感作・惹起して光アレルギー反応を引き起こすことを示してきた.今回の研究ではキノロンの抗原生成についてオフロキサシン(OFLX)を使って検討した.OFLXと牛血清アルブミン(BSA)をリン酸バッファーに溶解し,UVAを照射後,BSAと非結合のOFLXは透析して除去した.こうしてできたOFLX-BSA光結合産物をアミノ酸分析したところ,リジン(K)の含有量は低下し同アミノ酸の化学的変化を認めた.次にヒスチジン(H)12個のペプチド(H12)と7番目のHをKに換えただけのペプチド(H6KH5)とを合成し,この2種類のペプチド1mMをそれぞれ2mM OFLXと混合しUVAを照射した.この2種の照射液をST-Q-9をリガンドとするaffinity chromatography操作し,結合した物質を酸で溶出した.溶出分画中のOFLXおよびヒスチジンを定量したところ,単位ペプチド当たりOFLX/H6KH5はOFLX/H12の約2倍のOFLXを含んでおり,OFLXはリジンに光結合する選択性が高いことが示唆された.さらにはマウスMHCクラスII分子に結合性がありリジンを含む合成ペプチドをOFLX光修飾し,これを抗原としてLCの存在下でOFLX光感作マウスのリンパ節CD4+T細胞を培養したところ,T細胞増殖反応を認めた.以上の結果は薬剤が光抗原の一部を担うことを示した.
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