研究課題/領域番号 |
14570813
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
江川 清文 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50183215)
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研究分担者 |
本田 由美 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00284761)
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / HPV / HPV型特異的細胞変性効果 / 細胞質内封入体 / 封入体疣贅 / HPVE4 / トノフィラメント / ケラチン |
研究概要 |
ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus : HPV)は、様々の皮膚・粘膜上皮系の良性・悪性腫瘍の原因ウイルスと考えられている。良性、悪性を含むHPV感染細胞の増殖や分化の異常は主として原因となるHPVの遺伝子型により、「HPV型特異的細胞変性効果あるいは細胞病原性効果」の概念が提唱されている。そのメカニズム解明が、HPV感染症研究分野の重要な研究課題となっている。 HPV感染症のうち、病理組織学的に特異な細胞質内物質を認めるものは特に「封入体疣贅」と呼ばれ、「HPV型特異的細胞変性効果」研究上の重要な自然モデルとなっている。当該年度の研究においては、従来知られたHPV1型のGr型、HPV4/60/65型のHg型、およびHPV63型のF1型封入体を対象に、免疫組織化学的および電子顕微鏡的検討を加えた。結果、いずれの型の細胞質内封入体においても、その形成に、各HPV型のE4遺伝子タンパク質が関与することを明らかにした。また、これらの封入体がトノフィラメントやトノフィブリルと関連することを明らかにし、第20回国際パピローマウイルス学会(2002年、パリ)にて発表した。また、新たに確認したFb型と類Hg型封入体の原因HPVの検索を行い、Fb型とHPV88型(新型)の特異相関を明らかにし、第20回国際パピローウイルス学会および第20回世界皮膚科学会(共に2002年、パリ)にて発表した。類Hg型封入体疣贅からも新HPV型のウイルスDNAクローニングに成功し、現在その全塩基配列の決定が進行中である。 これらの研究成果に基づいて、次年度は、異なるHPV型に特異的な細胞質内封入体の形成されるメカニズムとその意義について、更に検討を加える予定である。
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