研究課題/領域番号 |
14570819
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
宮川 幸子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30094626)
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研究分担者 |
小林 信彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70316074)
森 俊雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (10115280)
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キーワード | トリコチオディストロフィー / 紫外線 / DNA損傷 / DNA修復 / TFIIH / XPD / ヌクレオチド除去修復 / 発癌 |
研究概要 |
紫外線高感受性Trichothiodystrophy(TTD)患者の大部分は、色素性乾皮症(XP)D群遺伝子変異により発症する。しかし、原因遺伝子が共通で、同じくヌクレオチド除去修復(NER)異常を持つXPD患者と異なり、TTD患者では高発癌性はみられない。その原因として、両疾患のNER欠損に質的・量的差異があることが推測されてきた。本研究では、我々が独自に確立したDNA損傷定量法およびin vivo NER解析法を駆使して、XPD過伝子に代表的な異なる変異を持つ3種類の患者細胞におけるDNA修復異常およびXPDのNER欠損との差異について詳細に検討した。その結果、TTD細胞もXPD細胞と同程度にシクロブタン型ダイマーおよび(6-4)型ダイマーの修復が欠損すること、修復欠損の程度に応じて紫外線高感受性となることを明らかにした。すなわち、TTDに高発癌性がみられない理由は、XPにおけるNER欠損との重篤度の違い(量的差異)ではないことがわかった。XPDの修復欠損は、XPD蛋白のhelicase活性が低下することによるが、TTDでは、1)XPD蛋白の変異によってDNAの発現量が低下すること、2)細胞株によってTFIIH発現量に差がなく、NER欠損の程度とは相関しないこと、3)XPD蛋白の変異によってDNA損傷部位へのTFIIHの集積が妨げられること、4)TFIIHのDNA損傷部位への集積阻害の程度とNER欠損の程度が相関することを見出した。In vitroの生化学的手法を用いて変異XPD蛋白の機能を解析した報告もみられるが、3)4)の結果は、我々独自のin vivo NER解析法(小孔照射法)を用いて初めて発見し得たものである。このTFIIHをDNA損傷部位に集積させる機能には、helicaseドメイン外のアミノ酸配列112番目のアルギニンが重要であることを明らかにした。
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