研究概要 |
術前にFDG-PETの行われた骨軟部腫瘍200例あまりを今回の研究の対象とした。すでに、FDG-PETのデータ(SUV値など)は整理され、組織球系や繊維性あるいは神経系の骨軟部腫瘍が高いFDG集積を示すことが示された。この結果はFDG-PETにより骨軟部腫瘍の良悪性を鑑別しようという試みに疑間を投げかけるものであり、いくつかの論文に発表された。また、腫瘍と炎症の鑑別にも問題があることが間接的に示唆された。今回は、これらの症例のうち、組織球系細胞を含む腫瘍(悪性線維性組織球腫、骨巨細胞腫、腱鞘巨細胞腫、軟骨芽腫、非骨化性線維腫、サルコイドーシス、ランゲルハンス組織球症など)の症例を選び、ブドウ糖輸送酵素(Glucose transporter-1,GLUT-1)の抗体を用いて免疫染色を行った。これは、骨軟部腫瘍におけるFDGの取り込みの本質を検討する一助となるものである。まず、すでにある組織標本のパラフィン切片に対する蛍光抗体法を試みたが、安定した染色が得られなかった. 腫瘍細胞の良悪性よりも構成細胞の組織系の方がFDGの取り込みに影響を大きくおよぼすことになれば、FDG-PETの腫瘍シンチとしての臨床的有用性は低下する。そこで新しくアミノ酸代謝を反映する^<18>F標識FAMTを用いて腫瘍の質的診断の意義を検討した。
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