研究概要 |
本年度は、3.0TMRI撮像装置にて、CASL法による定量的MR perfusionマップを慢性閉塞性脳血管障害の患者に応用した。同時期に施行されたPETによるrCBF値と比較した。 方法:3.0TMR撮像装置(GE,Signa LX)を用いた。TR/TE=4200/20(ms)、Matrix=128x128、Nex=60、を基本パラメタとし、pons下部レベルに約2.4秒間スピン反転パルスを加え、1.2秒後に7スライスのEPI収集を行った。組織のT1値の違いを補正のため、T1 imageの作成も行った。血液のT1値を1600ms、Brain/Bloodの分配係数を0.9と仮定し、コンパートメントモデルを用い組織血液潅流量(ml/min/100g)をpixel毎に計算し、rCBF mapを作成した(Kimura H, et al. ICS, Vol.1265,2004,Pp.238-247)。また、transit timeの計測をするため、ラベル後の待ち時間を変化させた条件でも収集した(N=3)。一側のIC閉塞/狭窄を持つ患者(N=7)の基底核から脳室体部レベルのスライスにおいて灰白質および白質よりROIを選びそれぞれのrCBF値を算出した。位置合わせを行いMR画像に一致させたPET画像のスライス面で、同様のROI領域のrCBF値と比較した。結果:すべての患者でrCBF-MRとrCBF-PET値の相関は有意であった。到達時間を計測した症例では、患測で、0.3-1.7秒、健側で0.2-1.2秒と計算された。 結論:S/Nの向上、全脳のカバー、到達時間の影響など解決されなくてはならない点はあるが、本法は、MRによる定量的perfusion検査として利用可能で、臨床応用可能と考えられた。本法によるrCBFの計測値はPETのそれにより正当化された。
|