マルチスライスCTの撮影条件が3D画像の画質に及ぼす影響を4Fツイストタイプのカテーテルを用いて検討した。3D画像の画質に最も大きく影響する因子はデータ収集時のcollimationであり、0.5-mmで撮影した画像は1-mmの画像よりも優れていた。ピッチを大きくすると画質が悪化したが、その程度はcollimationが薄いほど小さく、0.5-mm collimatioではピッチ6までは視覚的にはほとんど悪化を認識されなかった。オーバーラップ再構成により画質は改善したが、その程度は0.5-mm collimationに比べて1-mmにおいて顕著であった。 上記の結果に基づいて、胆膵領域の造影CTの適応とされた患者を0.5-mm collimationでピッチ5.5の条件で撮影した。この画像データから、膵の長軸に沿った斜めの多断面再構成画像を作成して、この断面での画像解剖を明らかにするとともに、膵管、膵内胆管の描出能を評価した。多断面再構成画像を用いることで水平断像のみの観察に比べて膵胆管の描出能が有意に向上することを明らかにした。また、多断面再構成画像を応用することで病変と膵胆管との関係をより正確に評価可能であり、特に、膵管内乳頭粘液性腫瘍をはじめとする嚢胞性病変の診断上有用である可能性を示した。 胆膵領域の造影CTにおいて、動脈相、膵実質相、門脈相の撮影が必要であり、良好な膵周囲の小動脈の描出能を得るためには、動脈は十分に造影され、門脈系と膵実質の造影効果が乏しい時相(動脈相)での撮影が重要であることを認識し、造影剤の注入速度と撮影タイミングと造影効果の関係について検討した。注入造影剤量が同一ならば急速に注入した方が、より造影効果が大きく純粋な動脈相が撮影できることを明らかにした。また、造影剤の注入速度に応じて適切な撮影タイミングを設定することが重要であるが、高齢者と心血管障害を有する患者を除けば、bolus tracking法の利用が固定法に比べて造影効果の有意な改善を生じないことを示した。
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