研究概要 |
新しい乳腺超音波診断ガイドラインに基づき、所見の取り方の一致度と内部エコーの良悪性鑑別診断能に与える影響について明らかにするために、乳腺超音波画像100症例を用い,26名(放射線科医6名,診療放射線技師20名)による読影実験を実施した.50症例を二回読影し、判断の再現性を評価した.腫瘤の形状,境界部の性状,境界部高エコー像,内部エコーの均質性,内部エコーレベル,内部エコーに関する付記,後方エコー,外側陰影,境界線の断裂,縦横比,カテゴリー分類について,2〜6段階で評価した.内部エコーの重要性を評価するためにAdobe Photoshopを用いて内部エコーを黒く塗りつぶして加工し,画像所見を評価した.ROC解析では,画像の加工により診断能が有意に低下した.読影者間の一致度では,オリジナル画像と加工画像ともに後方エコーのカッパ値が最高で,境界部高エコーが最低となった.再現性は,境界部高エコーと境界線の断裂が不良で,後方エコーと縦横比が良好であった.診断基準項目のうち,境界部高エコーが一致度,再現性ともに他の項目より劣った.内部エコーが見えるということは,画像認知の上で,それ以外の所見を判定するために必要である.また、浸潤癌を示唆する重要な所見である境界部高エコーと乳腺境界線の断裂は,判断のばらつきが大きく、特に初心者は所見の取り方に注意を要する。 CRTモニターと液晶(LCD)モニターを比較するため、14名の乳腺超音波診断の専門科により、乳腺超音波画像50例を2回読影し,判断の再現性を求めた.使用したモニターはCRT,LCDが7名ずつと同数である。CRT読影の再現性はgood、LCD読影の再現性はmoderateで、両者のカッパ値に有意差を認めた。LCDモニターで判断の再現性が悪くなった要因としては,視野角特性が考えやすい.特にコントラストが問題となるような画像の観察におけるLCDモニターの使用は慎重であるべきであろう.
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