研究概要 |
(1)マンモグラフィは,従来フィルム・スクリーン法(SF)によるフィルムをシャウカステンで観察することが一般的である。本研究では,11名の放射線科専門医により、CIRS社製Model Xのオプジェクトの見え方について三段階評価によるスコアをつけてもらい、(a)SF画像をシャウカステンで読影するもの、(b)SF画像をデジタイズしてCRTモニターで観察するもの、(c)FCRのハードコピーと(d)FCRのソフトコピーの4種類の方法で差があるか検討した。FCRはフィルムに比較して判断のばらつきが大きいことが判明した.FCRの方がファントム画像の腫瘤の判定がばらけ、かつ基準となるSFより点数を低く評価する傾向を認めた。モニターで再現性のある判定を行うためにはフィルム読影よりも注意が必要である。 (2)超音波はもともと動画としてモニター上で診断するモダリティであり,検者以外にはわからないことも多々あり,他のモダリティに比較して客観性に乏しい検査とされている,超音波画像100症例(良性50,悪性50)をもちい,26名(放射線科医6名,診療放射線技師20名)による読影実験を実施した.内部エコーが欠落すると正しく所見を読めなくなり,鑑別診断に使わないとしても,画像認識には重要であることが判明した.また,境界部高エコーや境界線の断裂のように浸潤癌を示唆する所見の判断の一致度や再現性が悪いことが判明し,超音波を習得する上で特に留意すべきである. また、14名の乳腺超音波診断の専門科により、乳腺超音波画像50例(良性25,悪性25)を2回読影し,CRT7名、液晶7名で判断の再現性に差があるか検討した.CRTよりも液晶の方で有意に再現性が劣った.視野角特性によるコントラストの変化が要因と考えられるが,液晶モニターの使用についてはCRTとは違った観察条件を工夫するなどして画像のコントラストに特に注意をはらう必要があろう。
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