研究課題/領域番号 |
14570850
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
竹田 寛 三重大学, 医学部, 教授 (70106988)
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研究分担者 |
松村 要 三重大学, 医学部附属病院, 診療等従事者 (70126994)
佐久間 肇 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (60205797)
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キーワード | I-123BMIPP / 虚血性心疾患 / 抗がん剤による心筋障害 / dynamic SPECT / Rutland解析 |
研究概要 |
虚血性心疾患や抗癌剤による心筋障害を対象として、心筋脂肪酸代謝の異常と機序について検討した。対象とした全例に対し今回の検査の趣旨を説明しインフォームドコンセントを得た。I-123beta-metyl-idophenyl-pentadecanoic acid(BMIPP)111MBqを急速注入した直後より、三検出器型SPECT装置を用いて心筋のダイナミックSPECTを施行し、得られたデータをRutland法により解析して、投与後早期におけるI-123BMIPPの心筋集積率を示すK値と、心筋からの排出が開始されるまでの時間を計測した。また通常のSPECT画像も得た 正常心筋に較べ虚血心筋では、K値は有意に低下し排泄開始時間は短縮した。一方、抗癌剤doxorubicinによる心筋障害では、正常心筋に較べK値の軽度低下と排泄開始時間の高度延長を認めた。これらの結果より、虚血性心疾患でも抗癌剤による心筋障害においても共に心筋の脂肪酸代謝障害が生じるが、虚血性心疾患では主としてback diffusionの増加に反映されるのに対し、抗癌剤による心筋障害では、脂肪酸の代謝速度の低下が主体であることが推測された。 さらに乳癌や肺癌などの治療に広く用いられているtaxaneは、稀に心筋障害を惹起することがあると云われ、同様の検討を行って心筋脂肪酸代謝に障害が起こらないか検討した。対象はtaxaneとcarboplatinによる化学療法が行われた肺癌患者である。I-123BMIPPによるdynamicSPECT検査の前後2、3日以内のうちに、^<99m>Tc-MIBIを用いて心プールシンチグラムを行い左室駆出分画(LVEF)を得た。化学療法施行後には、^<123>I-BMIPPによるSPECT画像にて約半数に集積低下の出現を認め、dynamic SPECTではK値の有意の低下を認めた。一方、LVEFは術前後に有意差を認めなかった。これらの結果よりtaxaneによってもdoxorubicin同様の心筋脂肪酸代謝障害が誘発され、しかも、脂肪酸代謝障害は心機能の低下に先駆けて出現することが判明し、taxaneによる心機能障害を未然に防止する上で役立つものと考えられた。
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