研究課題/領域番号 |
14570851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
高橋 雅士 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (20179526)
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研究分担者 |
村田 喜代史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127038)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40324587)
高櫻 竜太郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70335181)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | EBM / 肺癌 / 遠隔転移 / 市中肺炎 / 画像診断 / CT / MRI |
研究概要 |
画像診断のガイドライン作成のためのデータベース構築のために、以下のふたつのリサーチクエスチョンに関して、EBMの手法でデータ集積を行いレビューを行った。 1.肺癌の遠隔画像診断はどのように行うべきか? ASCO, ATS/ERSのガイドラインを中心に、関連する論文を収集し、主に非小細胞肺癌の遠隔転移の画像診断の進め方をレビューした。対象臓器は、脳、骨、副腎、肝臓であり、また費用効果分析の観点からも解析を行った。これらの成果は、論文:肺癌(非小細胞癌)の遠隔画像診断-EBM時代における画像検査-画像診断 23(5):509-517、2003として出版し、また関連する学会、研究会で発表した(研究成果参照)。 2.市中肺炎の画像診断はどのように行うべきか? 今回、1996-2004の"PubMed", "Ichushi Web"をデータベースとして、"市中肺炎"、"診断"、"マネジメント"、"画像診断"などを検索語として、主にCTを市中肺炎にいかに使うべきかをEBMの手法により検討した。また、日本呼吸器学会、アメリカ胸部学会、アメリカ感染症学会、イギリス胸部学会、カナダ感染症学会、カナダ胸部学会、欧州呼吸器学会、のそれぞれの市中肺炎のマネジメントに関するガイドラインをレビューした。検索された文献を文献閲覧ソフトウェアに移植し、これらからそれぞれの文献のabstract formを作成した。文献のエビデンスレベルは、AHCPR1992(Agency for Health Care Policy and Research)を用いた。最終的に186編の肺炎の画像診断に関する記載のみられる論文を抽出し、この中から市中肺炎における画像診断の適応ついて十分な記載のみられる34編の論文を選択した。これらのEBMレベルは、いずれも2b以上のものはみられず、市中肺炎の画像診断の進め方に関しての科学的データが存在しないことが明らかになった。これらのうち、11編にCTの適応に関する記述がみられた。CTは、胸部単純写真よりも肺炎の存在診断、重症度診断、あるいは質的診断に優れるが、いずれの論文も、ルーチンの画像診断手法として胸部CTを市中肺炎に使用することには否定的な見解であった。次に、世界の7つの市中肺炎のマネジメントに関するガイドラインを検討した。日本の呼吸器学会が市中肺炎の診断において、胸部単純写真あるいは胸部CTにおける浸潤影と定義している以外には、CTを市中肺炎のマネジメントに使用するとしたガイドラインはひとつも認められなかった。日本は、世界最大のCT保有国であり、その検査件数も1年間に3655万件ととびぬけて高い。これは、医療費の観点からも、また国民の被曝線量の観点からも、重要な問題と考えられる。
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