研究課題
放射性微小球を用いた肝臓腫瘍に対する内照射療法は海外では既に臨床応用されているが、その治療効果や組織内での微小球の動態等の評価は充分とは言えない。京都大学医学部では京都大学工学部との共同研究により高い化学耐久性と真球性を有する純粋なY_2O_3微小球の開発を進めており、家兎肝腫瘍モデルを用いて前臨床研究を行った。平成16年度の成果としては微小球の注入後における微小球分布の検討放射化微小球および非放射化微小球注入後の家兎を注入後3週間で屠殺し、肝、胃、十二指腸、両肺を取り出した。それぞれの臓器より0.2〜0.4gの組織片を採取し、濃硝酸にて溶解後ICPを用いてYを定量し、微小球分布の評価を行った。検出されたYの定量では、大きなばらつきを認めたが、肝臓内では放射化微小球、非放射化微小球それぞれ74%、75%のサンプルでYが検出され、胃および十二指腸では2-5%のサンプルにしか検出されなかった。両注入群で、脾臓、肺、血中には、Yの検出は認められなかった。小径微小球注入試験および分布の検討本研究に用いられてきた微小球の直径は20-30μmであるが、種々の報告によると塞栓物質の直径が変われば注入臓器における分布に違いがあると報告があり、直径が小さすぎれば他臓器への逸脱が問題となる。前年度、非放射化微小球で10-15μmと15-20μmの微小球を準備し、組織学的に肺への逸脱は観察されなかった。今回、15-20μmの小径微小球を使用し、シミズテックの試作注入装置を用いて放射化微小球の場合と同様に10分かけて一定の注入速度で注入し、ICPを用いたY定量試験を行った。肝臓内の86%のサンプルにYが検出され、肝外では十二指腸より40サンプル中1サンプルに検出された以外、胃、脾臓、肺にはYは検出されなかった。遠隔臓器に逸脱がないという点で安全性が示された。
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