研究概要 |
本研究は、医用画像処理技術の応用により、GAFクロミックフィルムの高エネルギーX線・線量分布測定精度の向上を目的とする。本研究の対象は、フィルムタイプ線量計としてGafchromic MD-55であるが、高感度タイプGafchromic HSも発表されたためそれも含めた。平成14年度に行った実験の結果に対し、さらに分析を行った平成15年度の研究結果を要約する。 1.照射前と照射後のフィルム濃度(試料ピクセル値)の相関 Gafchromic MD-55およびHS、吸収線量5〜20Gyにおいて、照射前のフィルム濃度(試料ピクセル値)と照射後のフィルム濃度(試料ピクセル値)のネット値(照射後の試料ピクセル値-照射前の試料ピクセル値)間に直線相関が確認された。 2.照射前の試料ピクセル値を用いた照射後の試料ピクセル値補正方法 照射前後の試料ピクセル値間にほぼ直線関係がみられ,高吸収線量になればなるほど照射前のフィルム濃度の不均一性(ムラ)の測定精度に与える影響が大きくなる。そこで、その直線関係を、各照射前の試料ピクセル値ごとに、吸収線量と照射後のピクセル値の関係を示す直線関係に読みなおした。一般式で示すと以下のようになる。 D_e(x, y)=a(P_b)×P_e+b(P_b) (1) D_e(x, y):フィルム面の(x, y)点の計算吸収線量 a(P_b), b(P_b):照射前試料ピクセル値P_bにおける直線近似式の傾き及び切片の配列 P_e:照射後の試料ネットピクセル値 具体的には,a(P_b), b(P_b)をルックアップテーブルとして作成しておき,コンピュータに試料ごとに照射前後の(x, y)点の二つの試料ピクセル値を読み出し,各ピクセル値について,式(1)を用いて,吸収線量を計算する。 任意の吸収線量に対して式(1)を用いて補正した結果、試料ピクセル値の標準偏差は約1/2〜1/3に減少したことから、精度改善に本方法が有効であるとの結論に達した。
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