研究概要 |
平成14年度は、基礎実験として、合計14頭の犬で、血中アミラーゼにより分解されるスフェリックスによる一過性肺塞栓症モデルを作成し、塞栓領域の血流欠損が時間経過とともにダイナミックに消失するようすが、造影剤を使用しない心電図同期肺血流MRイメージングにより画像化できることを証明し、欧文誌に記載した(J Appl Physiol 92:2439-2451,2002とInvestigative Radiology 37:615-625,2002)。また、エンブクリレートを使用した永久的肺塞栓症モデルと、気道にバルーンカテーテルを挿入して一過性気管支閉塞モデルも作成し、これらのモデルの肺野血流欠損が本血流MRイメージにより描出されることを示し、欧文誌に記載した(Investigative Radiology37:281-291,2002)。さらに、本研究過程で、肺換気MRイメージングとして開発したGd-DTPAエアロソルイメージングが、これらの実験モデルにおける肺局所換気障害を描出するのに有用であることを見い出し、欧文誌に掲載した(Acta Radiologica 43:282-291,2002)。また、合計8頭の犬でブレオマイシン誘発間質性肺炎モデルを追加作成し、本エアロソルイメージングにより、亢進した肺上皮透過性が評価可能であることを証明し、欧文誌に記載予定となった(Am J Respir Crit Care Medicine 2003;167:in press.)。現在は、犬6頭で、プロスタグランジンI-2静注による一過性肺動脈収縮モデルを作成し、心電図同期肺血流MRイメージングにより肺血流のダイナミックな変化が描出可能かどうかを検討中である。 本年度の臨床的研究としては、健常ボランティア8名の心電図同期肺血流MRイメージを解析し、特徴を評価した。現在は、各種肺疾患例で症例を積み重ね本血流イメージを得て、肺血流SPECT所見と対比検討中である。平成15年度には、これらの臨床治験のまとめを欧文誌に記載する予定である。
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