研究概要 |
今年度は腫瘍の病理組織学的特徴と放射線治療効果、画像所見との関連の検討を開始した。病理組織像の検討対象症例は高精度CTにより仮想食道、仮想内視鏡を得られた症例と同一の症例とした。 食道癌において放射線治療は重要な役割を占めているが、酸素効果は放射線治療効果を規定する強力な因子であり、低酸素細胞は通常の細胞よりも放射線治療効果が著しく落ちることが指摘されている。従って、腫瘍組織内においては低酸素に関与する遺伝子発現、例えばHIF-1αやその下流のVEGF等の遺伝子群が放射線治療効果を予測する可能性があると考えられる。さらに食道癌においては、形態学的特徴が、MVD, VEGF等の低酸素に関連する遺伝子群と相関があることも報告されている。従って、今年度の検討では、食道癌に対して放射線化学療法を施行した50症例において、低酸素状態に関連していると考えられる遺伝子群について免疫染色法による検討を開始した。組織は治療前内視鏡生検術によって得られた癌組織を通常の病理学的検査と同様にホルマリン固定し、パラフィン包埋したものを使用した。組織型については、各パラフィンブロックより3μmの厚さで薄切し、通常のHematoxylin-Eosin (HE)染色法を用いて確認を行った。次に、HIF-1α、CA9,GLUT1,DEC-1,MVD, VEGFについて、酵素抗体法を用いて組織免疫染色を行った。これらの試薬は主にDAKOJapan社、コスモ・バイオ社より購入した。 今後はこれら病理学的組織検査で得られた知見と放射線治療治療効果、3D画像像と対比させ、高精度CTによる画像所見の臨床的有用生について探索していく予定である。
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