研究概要 |
医用画像を転送した場合に、患者の取り間違いを防止することや、画質の変化を検出できる機能が必要となる。このような情報社会の必要性に合致した研究として本研究は位置づけられる。デジタルすかしは、画像に直接情報を埋め込み、第3者がこの情報に気がつかないような方法である。すかし情報に固有の認識子(ID)を埋め込み、そのデータにより正当な所有者か否かを識別する方法である。そのため、電子すかしは、存在が分からずかつ原画像を損なうことのない方法が望まれる。 本研究は、医用画像用デジタルすかしを開発し、臨床的に利用可能な診断能を確保した。また、画像の固有識別子管理方法について検討した。画像に患者を特定する固有情報を付加し、患者が自分の画像を他の医療機関に持っていった場合に、画像の検査元施設を特定したり、画像が改竄されていないかを検出したりできる機能を持っている。 デジタルすかしの方法としてDCT法とピット置換法を用い、DCT法により画像処理に強いすかしを埋め込み、逆にビット置換法により画像処理に弱いすかしを埋め込み改ざんの検出を目的とした。DCT法では,DCT係数(1,1)または、(2,2)付近に埋め込み,レンジは、P=40が良いと考えられた。ビット置換法では、埋め込むビットプレーンは、最下位のビットプレーンに埋め込むことがよい。BCH法によるすかし訂正は、処理前のすかし検出率が0.10程度までならば100%改善することが可能であった。多数決訂正では、訂正前のすかし検出率が0.6程度までならば訂正により100%すかし情報を回復することができた。スクランブル配置では、画像処理の種類により、検出率が上昇する場合とそうでない場合があった。 多数決訂正とBCH訂正を行うことにより、処理前のすかし検出率が0.6程度までは、すかし情報を100%正しく検出することができた。
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