1.3次元の物体に対する投影データ計算プログラムの作成 数値ファントムとして心臓ファントム(MCATファントム)をもちいたシミュレーションシステムを構築した。また、γ線の入射方向を規定するコリメータとして平行多孔型のコリメータおよびコーンビーム型コリメータを想定し、任意角度から投影データを計算できるようにした。 2.投影データの最適選択法の考案 上記で計算された投影データを用いて画像再構成を行う際に、どのような投影データを選択すれば再構成画像の画質が向上するかを検討した。このためには、再構成画像の画質と使用した投影データとを関係づける評価基準が必要となり、2次元の投影データのパワースペクトルを基準として、投影データの独立性などを考慮したものも検討した。また、この投影データの最適選択法に関して、投影データの数、統計雑音の影響、γ線の吸収と散乱の影響、肝臓などの隣接臓器の影響を調べた。 3.基礎実験による有効性の検討 臨床用SPECTシステム(東芝製GCA7200A)を用いて、基礎実験ファントムに対するデータの収集を行なった。ファントムとしては心筋ファントムならびに、ロッドファントムを用いて提案手法の基本性能を詳細に調査した。実験では臨床用の装置にアタッチメントを設置し、3次元のデータ収集が可能なようにした。 4.実験結果をふまえた投影データ選択法の改良 シミュレーションにおける評価基準と実験における基準が一致しているかどうかの検討を行った。この結果、実験とシミュレーションの結果との間に相関がみられ、シミュレーションで選択した角度を実験データに適用することの合理性が明らかになった。また、画像再構成においては3方向の投影データをセットとし、おのおのが90度の角度をなすものを4セット使用する方が画質が向上することが明らかになった。
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