研究課題/領域番号 |
14570885
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
播磨 洋子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80140276)
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研究分担者 |
今村 正浩 関西医科大学, 医学部, 助手 (40268339)
寒川 光治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10154684)
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キーワード | 子宮頸癌 / 放射線治療 / 先行指標 / バイオインフォマティクス / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
子宮頸癌の放射線感受性に関与する遺伝子を包括的に検討するために、マイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを観察した結果、XRCC5遺伝子が放射線抵抗性癌に高発現した。子宮頸癌89例を対象としてXRCC5遺伝子産物であるKu80蛋白と治療後の予後について免疫組織染色を行った結果、Ku80陽性例の抗腫瘍効果と予後はKu80陰性例より不良であった。放射線によりDNA2本鎖切断が生じた際、Ku80はKu70とヘテロダイマーを作り、DNA-PKcsと結合してDNA末端を覆い切断部位を修復する。XRCC5遺伝子が高発現しているために、修復機能が高く放射線に抵抗を示したと考えられる。一方、我々は染色体6p21の欠失が予後不良例に高頻度に認めたと報告した。今回のマイクロアレイを用いた検討で、染色体6p21に局在するHLA-DQA1遺伝子が抵抗性癌で高発現したので、HLA-DQA1とDQB1のハプロタイプを105例の子宮頸癌と334例の正常日本人とで比較した。HLA-DQA1*0103、DQBl*0601、DQB1*03は子宮頸癌症例で有意に多く見られた。HLA-DQA1遺伝子のハプロタイプは子宮頸癌の発症に関与するとの報告があるが、放射線感受性との関連は明らかではない。反対に、放射線高感受性癌にはレチノール酸(RA)の合成とレチノールの輸送に関与するALDH1遺伝子とRBP1遺伝子の高発現が観察された。RAを加えた子宮頸癌細胞は放射線感受性が高くなるとの報告があり、RAはc-Mycを誘導させアポトーシスを引き起こすとの報告もある。次年度は放射線抵抗性の子宮頸癌におけるXRCC5、HLA-DQA1、ALDH1、RBP1遺伝子に関与するバイオインフォマティクスについて臨床検体を用いて検討することで、放射線治療の真に適応となる症例を選別する一方で、抵抗性癌に対する戦略を考案する。
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