研究概要 |
早期肺がんを発見するために,胸部CTを用いた検診が行われるようになってきたが,CT検査では,医師は,一人あたり30〜40枚のスライス画像の読影を行う必要がある.そのため,画像診断の時間が長くなることや,小さな結節状陰影のコントラストが,部分容積効果のために低くなり,検出することが難しいことなどから,医師にとってその画像診断は大変負担のかかるものとなっている.そこで,小さな結節状陰影部を選択的に強調することができる,新しいサブトラクションCT技術の開発を行っている. この手法には,サブトラクション画像を得るために,それぞれのCTスライス面における"マスク画像"を作成する技術と,繰り返しワーピング法によってサブトラクション画像を作成するスライス画像とそのマスク画像を整合させる技術が用いられている.マスク画像を作成するために,3次元および2次元のモーフォロジカルフィルタ処理を用いた.この処理を行って得られたマスク画像においては,サブトラクション画像を作成する面におけるCTスライス画像に存在する結節状陰影は除去され,サブトラクション画像を作成する面におけるCTスライス画像における血管陰影とはよく似た画像となっている.したがって,サブトラクション画像を作成するCTスライス画像とそのマスク画像との差分をとることによって,結節状陰影が黒く強調された画像が得られる. この手法により,肺血管陰影を除去した差分像が得られ,結節状陰影を強調することができた. この研究内容は,電子情報通信学会医用画像研究会(2002年9月岐阜)および,北米放射線学会(2002年12月シカゴ)で発表を行った.
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