研究概要 |
(検討1,dynamic MRI) 対象症例は肺癌との鑑別が問題となり、dynamic MRIを施工した210例である。得られた画像から腫瘤に関心領域を設定し、時間-増強効果比(TER)曲線を作成した。TER曲線から数値化したパラメーターは,最大増強比(MER),MERに至る時間(Tmax),最大増強に至る傾き(Slope),最大増強から3分後の増強効果比に対する傾き(WR)の4つとした.特に問題となった肺腺癌と限局性器質化肺炎との鑑別に重点を置いて検討した結果,両者の区別はSlope値によってある程度可能であることが分かった(Fujimoto et al.Eur Radiol 12:2002,p.386). (検討2,病理学的検討) 3cm以下の末梢小型肺癌94例を対象とし、腫瘍の増強効果と病理像を比較検討した。摘出された肺癌の標本にHE、elastic van Gieson(EVG)染色を,また,CD34,血管新生因子(VEGF)に対する免疫化学染色を施行した.CD34で染色される微小管腔構造を微小血管とし,これを200倍視野域で数え,微小血管数(MVCs)とした.間質量はEVG染色から弾性線維量,膠原線維量を視覚的に群分けした.さらにVEGF発現の有無を記載し,増強パラメーターと比較した. 結果は、MVCsとMER, Slope, WRは正相関,Tmaxは負相関を示し,特にSlope値はMVCsと比較的強い直線回帰を示した.WRは弾性線維量,膠原線維量と負相関した.VEGF発現腫瘍は非発現腫瘍に比して,有意にMVCsが多く,Slope値が高く,リンンパ節転移症例が多かった. (平成15年度の展望) 以上の結果をふまえ,予後調査を行って予後との相関を検討し,予後因子を明らかにする.さらに,肺癌と肺野小型良性腫瘤性病変との比較も行い,dynamic MRIが良,悪性の鑑別に有用か検討する.
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