研究概要 |
本研究では,愚者誤登録判定システムを開発するために以下の研究を行い成果をあげた. 1.患者自動認識の性能を改善するために、新しい概念としてのbiological fingerprintsを利用する手法と,エッジ強調画像を利用する手法を開発した。研究では、肺がん集団検診で撮影した、男性1000人、女性1000人について、それぞれ現在画像と過去画像からなる合計2000枚の画像データベースを利用した。 2.これまでに開発した手法を、共同研究者の一人(HW)が所属する産業医科大学病院のコンピュータに移植し、臨床評価テストを行うとともに,開発した手法の問題点の分析を行った. 3.上記2.において得られた臨床での評価結果を解析したところ、開発した手法は、同じ患者に対してコンピュータが異なる患者と判定する割合を低く抑えながら(1.3%)、異なる患者をコンピュータが正しく異なる患者と判定できる高い割合(86.4%)を示し,実用的な性能を確認できた. 4.本研究を始めた動機は、PACSの環境下で、人的エラーが起こり、患者の氏名やID番号などの情報が間違って入力された場合に、異なる患者の電子的なフォルダに画像が自動的に転送され、その結果、後ほど、医療事故に繋がると考えたからである。産業医大での胸部単純X線写真に関する臨床評価テストと並行して、大阪大学病院の協力を得て、このような画像のファイリングミスが実際に起こっているのかを複数のモダリティについて詳細に調べた。その結果、ほとんどすべてのモダリティについて、画像のファイリングミスが実際に起こっていることを突き止めることができた。この結果を踏まえて、PACS環境で画像のファイリングミスが発生する原因を分析し、どのように対処すれば画像のファイリングミスを減らすことが可能であるかを検討し、国際会議(北米放射線学会2003)におけるEducational Exhibitで研究発表を行い,certificate of meritを受賞した.
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