研究概要 |
本年度は,MRIから中脳領域の標準脳を作成するための基礎的な検討を行った. (A)静磁場強度3Tで撮像された中脳部分の磁気共鳴画像を検討した.Red nucleusやsubstantia nigraなどが,従来以上に明瞭に描出される.その最大の想定は,高い組織コントラストとよりシャープな輪郭が得られることである.その結果,MRI上,描出されないRaphe nucleusやlocus ceruleusの位置も,相対的な位置をより正確に同定することが可能であると考えられた. (B)中脳領域のMRI画像に対する解剖学的標準化の精度を検討した.PET画像の統計学的mappingの可能性を検討した.中脳のT1強調高分解能MR画像をvoxel size 0.89x0.89x0.89mmで撮像した.これを解剖学的標準化したのち,その外形の輪郭を抽出し,そのばらつきを測定した.その結果,中脳領域おける解剖学的標準化の誤差は,最大で5-7mm, FWHMで2-3mmだった.これは,当面の目標としているPETによる神経核イメージングのためには,十分な空間分解能である.しかし,今後fMRIなどより高分解能のマッピングを行うためには,改善が必要である. (C)中脳領域の解剖学的標準化の有効性を予備的にPETデータを使って予備的に検討した.パーキンソン病(PD)患者10例,同年齢の健常高齢者15例の[F-18]FDOPA PETのデータを用いて中脳領域の神経核マッピングを行った.PDにおいて,吻側中脳正中領域(rostral raphe),腹側被蓋野,第四脳室底部外側部(locus cerureus)でKiの軽度の上昇を検出することができた.
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