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2002 年度 実績報告書

気分障害・精神分裂病の発症機序における情動ストレスの役割に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14570901
研究機関北海道大学

研究代表者

井上 猛  北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (70250438)

キーワード恐怖条件付け / c-Fos蛋白 / 視床背内側核 / 扁桃体 / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / セロトニン / 脳局所投与実験
研究概要

本年度の研究では視床背内側核、扁桃体の情動ストレスにおける機能的役割について以下の点を明らかにした。
1 恐怖条件付け前および後の両側視床背内側核あるいは扁桃体の破壊は不安・恐怖行動であるすくみ行動を有意に抑制した。しかし、条件恐怖によって増加する脱糞に対しては扁桃体破壊のみが抑制効果を示した。さらに、扁桃体破壊ラットとは対照的に、視床背内側核破壊ラットにおけるフットショック負荷直後のすくみ行動は抑制されなかったことから、視床背内側核は文脈的条件恐怖記憶の長期的貯蔵あるいは固定化に関与していることが示唆された。
2 最近不安障害に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が広く用いられ、高い有効性が認められてきた。恐怖条件付けにおける扁桃体の機能に対するSSRIの作用について検討した。ショック箱(文脈)に恐怖条件付けされたラットの両側扁桃体底外側核にSSRIを局所投与した実験では、条件恐怖によって惹起されたすくみ行動は顕著に抑制された。本結果は、条件恐怖に対するSSRIの抗不安作用の作用脳部位の一つが扁桃体基底外側核であることを示している。
3 SSRIは全身投与でも局所脳投与でも条件恐怖によって惹起されるすくみ行動を抑制する。条件恐怖の曝露により脳の様々な部位で転写因子であるc-Fos蛋白の発現は増加するが、特に扁桃体における条件恐怖によるc-F・s蛋白の発現増加はSSRI全身投与により抑制された。破壊実験と局所脳投与実験の結果から、SSRIはセロトニン神経伝達亢進を介して扁桃体の機能を抑制することにより抗不安作用をもたらしていることが示唆される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Abekawa T: "Effect of MS-153 on the development of behavioral sensitization to stereotvpv-inducing effect of phencvclidine"Brain Research. 926(1-2). 176-180 (2002)

  • [文献書誌] Izumi T: "Long-lasting change in 5-HT2A receptor-mediated behavior in rats after a single footshock"Eur. J. Pharmacol. 452(2). 199-204 (2002)

  • [文献書誌] Li XB: "Effect of chronic treatment with the protein kinase C inhibitor staurosporine on the acquisition and expression of contextual fear conditioning"Eur. J. Pharmacol. 441. 151-155 (2002)

  • [文献書誌] Abekawa T: "Effect of MS-153 on the development of behavioral sensitization to locomotion-and ataxia-inducing effects of phencvclidine"Psychophamacology. 160. 122-131 (2002)

  • [文献書誌] Inoue T: "Serotonin Transporters"Current Drug Targets -CNS & Neurological Disorders. 1. 519-529 (2002)

  • [文献書誌] 李 暁白: "Conditioned fear stressにおける視床背内側核の役割に関する研究"北海道医学雑誌. 77. 467-475 (2002)

  • [文献書誌] Inoue T: "Recent Advances in the Research of Affective Disorders in Japan (Elsevier Science)"Strategy of augmentation therapy for refractory depression. 204 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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