研究課題/領域番号 |
14570904
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
目黒 謙一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90239559)
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研究分担者 |
石崎 淳一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50361085)
山口 智 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90312587)
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キーワード | 最軽度痴呆 / MCI / 認知リハビリテーション / CDR0.5 |
研究概要 |
超早期の痴呆性疾患の鑑別は超早期の治療的介入を可能とする。本研究は、昨年度に継続して臨床的に軽度の一貫した記憶障害がありながらも明らかな痴呆ではない最軽度アルツハイマー病(AD)の疑いが強い地域在住高齢者に対する、構造化された心理社会的介入の効果について調べたものである。対象は宮城県田尻町の有病率調査で、本人に対する専門医の面接、各種の神経心理学的検査および保健師と家族・介護者からの情報からCDR0.5と判定され、かつ脳卒中やTIA、頭部外傷、うつ病その他の既往がなく神経学的症候を認めず、ワシントン大学の最軽度ADの診断基準を満たす高齢者である。その群に昨年度に継続して認知的刺激と社会的交流に焦点をあてた少人数のグループ・ワーク形式のプログラムを構成し、毎週1回、約2時間、6ヵ月間の実験的デイケアをおこなった。脳MRI画像により認知機能に対する血管性障害の影響が強いと疑われる者を除外した。介入群および対照群は昨年度と合わせると各々20人で、両者のデモグラフィックや介入前の神経心理学的検査成績に差はなかった。介入の効果を5種の神経心理学的検査によって判定した。また、情動尺度、観察式行動評価スケール、全般的臨床評価尺度、人格検査の介入前後の変化も評価した。結果、複数の認知機能検査成績で、対照群と比較して介入群の成績の維持または向上を認めた。観察式行動評価スケール、その他の改善を認めた。結論として、最軽度AD対象者でスモールグループによる構造化された心理社会的アプローチに対する積極的な反応を認め、約半年間の介入後における認知機能および社会的機能の維持・改善傾向を認めた。このことは最軽度ADに対する心理社会的介入が、機能障害の低下を遅らせた可能性を示唆している。地域において最軽度ADに対する機能回復と社会活動性の低下防止を焦点とするプログラムを開発し、実施することが必要である。
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