研究課題/領域番号 |
14570917
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岡野 禎治 三重大学, 保健管理センター, 助教授 (90169128)
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研究分担者 |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (10263005)
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キーワード | 産後うつ病 / ヘルス・ケア・システム / 母子相互関係 / スクリーニング / エジンバラ産後うつ病自己評価票 / 精神科構造化面接法 |
研究概要 |
産後うつ病の地域におけるヘルス・ケア・システム構築のため、母子保健行政(津県民局)と協力産婦人科医療施設と連携した調査を、同意を得た妊産褥婦に対して実施した。妊娠後期、分娩後、産後1ヵ月、産後3ヵ月、産後4ヵ月の時点でのデータの回収と構造化面接法を用いた診断を進行中である。2005年3月時点でエントリー数は108名を達成した。 1)診断評価の研修:精神科構造化面接技法とSCIDの研修を主に母子保健担当の保健師に5回実施して、産後うつ病の診断技法を習得させた。 2)妊娠期および産後の心理的尺度(不安状態・抑うつ状態、マターニティ・ブルーズ、EPDS、愛着障害)、社会心理的要因(ライフ・イベンツ、職業上の困難、望まない妊娠・出産、虐待傾向、対処行動など)についての調査用紙を回収し、順次データ入力を行っている。 3)スクリーニング方法の確立と罹患率:産後1ヵ月時に配布したEPDSを回収して、その後保健師による家庭訪問を同意者全員に実施して、面接を実施した。さらに同意を得た産褥婦に産後1〜2ヵ月の時点および3〜4ヵ月の時点で電話による専門医の構造化面接SCID-I(full version)を用いた確定診断を実施している。現時点で、産褥前期での協力者48名中2名が産後うつ病、1名が強迫性障害と診断されている。2005年7月にはエントリー女性のデータ回収予定であり、日本のプライマリケアにおけるEPDSによるスクリーニングの区分点および産後うつ病の罹患率が明確になる。 4)産後うつ病の社会心理的要因:統計学的解析はデータを回収後に行う(7月以降)。 5)産後うつ病の母子相互関係に産後4ヵ月の時点に正常対照群と産後うつ病群における母子相互関係について、GRMII観察法を用い比較した。産後うつ病の母親は愛情度・乳児の行動への受容が低く、乳児の要求を敏感に察知し、それに的確に反応することができなかった。さらに乳児での変化や相互作用の円滑に問題があることが判明して、2004年9月に国際学会で発表した。
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